強迫性とはこれ以上考えたくないこと

笠原嘉は1976年の出版の著作の中で次のように書いている。

強迫性格の特徴
(1)人生における不確実性、予測不能性、曖昧性を極小に抑えるための単純にして明快な生活信条ないし生活様式の設定
(2)それによって整然たる世界を構成しうると考える空想的万能感
(3)予測不可能性をあらかじめ排除する何らかの形での呪術の利用
(4)不確実性の高い生活領域への不参加とそれによる生活圏の狭隘化

これを眺めていて思ったことのひとつ。
このOCNのブログではコマーシャルが消せなくて
しつこくつきまとっている。

そのなかに「……方式」「たったこれだけの……法則」などで
かなり魔術的なものの言い方で何かを勧誘している場合がある。

この手のものにひっかかる人はやはりかなり精神的に視野狭窄状態にあるはずと思うが
このように広告しておけば自然とひっかかるものなのだろう。

だからgoogleはじめ広告会社は商売になるはずで、
困ったものだと思う。

生活圏が狭隘化すれば柔軟な判断ができにくくなる
不確実も曖昧も嫌いで耐えられないので
理性が欠如していたとしても無理矢理単純な答えをもとめてしまう
……の法則、……の定理、原則など

空想的万能感を刺激して呪術的な解決を提示すれば
ひっかかってくれるわけで
上掲の強迫性格の特徴は、何というか、困ったときには人はこんな態度で解決を求めるという、
一般的な表現であるとも思えるのだ

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そこから類推すると、
困難にぶつかって体力も精神力も消耗しているときには
ある程度誰でも強迫性格の特徴に傾くものなのかもしれない。
問題を過度に単純化して解決も単純化して
一応それでいいと考えたいのではないか。
自分が疲れているから問題を単純化してしまうという実に無理な話だが
人間はどうもそのような傾向があるらしい。

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強迫傾向というのは
現実の現実のままの複雑さに耐えられないという現象なのかもしれない。

何かおまじないのようなことをしていれば
何とかなるのではないかという感覚。
一種の先延ばし。思考停止。

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強迫性とは端的に言えば「これ以上考えたくない」ということだ。