唯物論的一元論の一つのタイプ。意識はどうせ定義も難しいし、測定も難しいから、科学の対象としては諦める。測定可能なものだけを相手にしよう。そこで、こころではなく行動を科学した。ワトソンは刺激と反応の関連を科学として測定した。
これは科学の方法論としてはまことに正しい。しかしまことに実り少ないものだった。
心理学教室で、首からストップウォッチをさげている学生さんがいる。実験系の人たちだ。心理学を人文科学ではなく、本当の科学として基礎づけたいと奮闘している。
しかし反応時間や頻度を測定しても、わたしたちの心の説明をするまでには何万年かかるんでしょうか。方法論として、原則は正しいものの、まだまだかなりの大発見が続かなければ、息切れするだろう。ネズミの癖を測っていても仕方ないですから。
現在では、やはり脳の内部構造の要素が必要ということで、「刺激-反応」モデルを捨てて、「刺激-心理-反応」モデルを採用する新行動主義になっている。
あまり前進とも思えない。
この観点は、行動療法と関係している。心の内部を治療するのではなく、行動を治療すればいいだろうという発想である。明らかに行動主義の発想である。
さらに訂正版を認知行動療法と呼んでいる。そして混乱は加速している。認知を測定できないから、行動を測定して科学しようとしたのではなかったか。認知療法には別の背景があるので、これはこれで立派な治療法である。