中国と日本

宮坂聡がプレジデント2008-3.3号で書いていることを要約しつつ、書く。

1.
中国には貧富の差の問題がある。
たとえば、工業用アルコールをニセ酒にして売り、
組織は摘発され、死刑となる。
毎年、何人、死刑になっても、やめない。
死刑は教訓として機能していない。
その裏には、生きていても仕方がないほどの貧困がある。
ホテルが廃棄した油を拾ってきて料理に使う、
にせ卵を作る、
安い白酒に殺虫剤を混ぜて高級酒に変えてしまう。

2.
一方で、中国には、深刻な環境問題がある。
農地消滅、水資源枯渇、水質汚染、大気汚染、土壌汚染。
農薬漬けは知っているが誰も騒がない。
砂漠化が進行しているから、黄砂の被害が、この春には日本にも広く及んだ。

3.
日本は、失われた十年で、経済は失速し、所得が減り続けた。
企業の業績が改善されたとは言っても、
従業員の収入は増えない。
その減収の痛みを日本人が深刻に感じなくてすんだのは、
デフレのせいだ。
100円ショップでたくさんの安物が売られている。
デフレは、主に中国という「鎮痛剤」によって可能になった。

4.
ギョーザ事件の代表されるモラルハザードは、
日中間の貿易で起きたことではない。
中国にはずっと存在していた問題である。
日本人が貧乏になったから、
中国食品の比重が増し、事件につながった。
しかし、それは前から分かっていたことで、
安かろう悪かろうで買っていたはずである。
それを今になって騒ぐとは、お門違いの話である。

5.
魚屋に行って、魚臭いと文句をいい、
八百屋に行って、魚がないと文句をいい、
三越に行って高いと文句をいい、
冷凍ギョーザを買って、毒入りだと文句をいう。
文句を言う人間が、お門違いである。

6.
日本は貧しくなったのだから、
貧しく、少人数で暮らすべきで、
結局、
ひもじくても我慢をするか、
毒入りでも食べるかしかない。

7.
ご馳走にと思って食べるといろいろ問題がある。
牛肉にはプリオン、
鳥にはインフルエンザと抗生物質、
うなぎにはマラカイトグリーン、
マグロには水銀、
その他いろいろ。
ご馳走でなくても、
コンビニには、表示義務のない保存料や着色料がたっぷりかかった
食品がならんでいる。
買ってみて、いつ頃腐るか、確認してみればいい。
生協の見学会では、おにぎりの製造工程を見学させる。
最後にシャワーのようなものをたっぷり降りかけている。
何かとたずねたら、表示義務のない、保存料である。
「保存料」とは呼ばない物質が降りかけられている。