単極性大うつ病患者を対象としたSSRI薬物療法または対人関係療法による無作為化臨床試験において 4ヵ

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Treatment-emergent suicidal ideation during 4 months of acute management of
unipolar major depression with SSRI pharmacotherapy or interpersonal psychotherapy
in a randomized clinical trial.
Depress Anxiety 2011; 28: 303-309
Rucci P, Frank E, Scocco P, Calugi S, Miniat i M, Fagiol ini A, Cassano GB
背景 : 大うつ病患者を対象として自殺念慮をアウトカム指標とした無作為化対照試験(RCT)は、これまでほとんど行われていない。本研究の目
的は、単極性大うつ病患者を対象として SSRI 薬物療法または対人関係療法(IPT)による急性期治療下における自殺念慮(ESI)および自殺行
動の頻度を明らかにすることである。
方法 : 本 RCT は 2 施設で実施され、ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)スコアが 15 点以上の外来成人非精神病性大うつ病患者 291 例を IPT
群または SSRI 群に無作為に割付けた。各々単独療法で寛解に至らなかった患者には、もう一方の治療による増強療法を行った。ESI の定義
は、ベースライン時における HDRS の自殺関連項目あるいは簡易抑うつ症状尺度(QIDS)スコアが 1 以下であった患者が試験開始後に 2 以上
になった場合とした。
結果 : ベースライン時に自殺念慮がなかった 231 例中 32 例(13.8%)が、少なくとも 1 度試験開始後の診察において自殺念慮(ESI)を示した。増
強療法、ベンゾジアゼピンの使用および不安障害の合併で調整しても、SSRI 群の患者における自殺念慮がみられるまでの時間が、IPT 群の患
者よりも有意に長かった(ハザード比 = 2.21、95% 信頼区間 1.04-4.66、p = 0.038)。自殺念慮の悪化はベースライン時に自殺念慮がみられた
60 例中 7 例で認められた。大半の症例における自殺念慮は試験プロトコールに従って適切に対処された。
結論 : 慎重なモニタリングと頻繁にコンタクトが行われている限り、SSRI 薬物療法と ESI リスクの低下との間に IPT よりも高い関連性が認めら
れた。また SSRI と IPT はともに自殺企図歴を有する患者にとって安全な治療と考えられ、該当患者の中で試験期間中に ESI を発現した患者は
一例もみられなかった。