エックルスは、ポパーの提出した三世界論を支持している。ノーベル賞学者がいうのだから、下々のわたしたちがあれこれ論評するのも的はずれかもしれない。エックルスは、神経細胞同士の関係として、抑制系関係と、促進系関係があることを実験で証明した。真にノーベル賞に値する。日本人も多く弟子となり、その学問はいまも受け継がれている。エックルズの孫弟子という人が日本にはちらほらいるものだ。その人たちには申し訳ないが、「エックルズ先生も年をとった、神様の元に行くことを考えて、二元論に宗旨替えだろう」などという声もあるらしい。わたしは聞いたことはないが。
ポパーの三世界論は、物質と心の他に、図書館やインターネットに集積される知の全体を実体として認めようと言うもので、なかなかいいところをついていると感じる。知識の集合全体が比喩的に生きていて、個人の意識と交流する、それは確かだと思う。しかしここでも心と体の関係は「常識通り」と済ませているような気がする。