うつ病患者は 「医療機関での治療」 をどう捉えているか

「100514qlife_research.pdf」をダウンロード

株式会社QLifeは14日、うつ病患者が「医療機関での治療」をどう捉えているか、について、うつ病患者1000名(回復群500名、未回復群500名)を対象にアンケートを行った結果を発表した。調査結果によると、一般的に精神科受診は他科受診に比べ抵抗感が強いといわれるが、実際には半数近い患者が精神科受診に全くためらいを感じていないことがわかった。受診を強くためらった患者は2割強と少なく、男性や中高年層の方が、受診に抵抗感がなかった。また、精神疾患は自己診断が難しいといわれるが、実際には、患者の8割近くが、受診前から自分がうつ病という可能性を疑っていた。
その一方で、「うつ病」と診断された後でも「本当に病気か」などと疑問に思ったことのある人が半数近くにのぼる。この数字は前述の結論と矛盾するようだが、「単なる心の悩みではなく、病気だ」と医師に診断された後でも、完全には納得できずに不安を持ち続ける患者が多い様子が伺える。なお、6割弱の患者が薬物療法に疑問を感じる。一番多い疑問は「薬の内容や量が不適切ではないか」であり、疑問を感じた人の5割を占めた。全体的に、女性、若年層の方が、診断や薬物療法に疑問を持ちやすい傾向があった。

また、うつ病から回復した元患者が考える「改善のきっかけ」は様々であった。「時間と共になんとなく」「休養で」「薬が効いた」がそれぞれ4割程度。一方で「悩みの見直し」「家族や友人との会話」「主治医や医療者との会話」といった心理学的なきっかけを挙げる人もそれぞれ3割程度いた。「その他のきっかけ」を挙げた人の半数近く(=未回復群全体の1割強)が、うつ病回復のきっかけとして「退職」「転職」「結婚」など大きな環境変化で回復していた。うつ病の治療においては「会社を辞めるなど重要な決断をしてはいけない」と強調されるが、実際には退職や転職がうつ病回復のきっかけになったと捉えている患者が少なくないことがわかった。

逆に、うつ病未回復群が考える「回復しない要因」としては、「自分の考え方や性格のため」が7割強と一番多く、「抱えている問題が深刻なため」が5割強と続いた。「薬の効果が不十分」や「治療内容が問題」を理由として挙げるものはそれぞれ1割程度と、回復しない原因を医療に帰す患者は少数派だった。

ーーーーー
精神科の病気についての「医療モデル」がなかなか定着しないまま現在に至る。