「心の危機状態」における精神療法的アプローチ

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勉強会報告

5月18日にスタッフで勉強会を開きました。

At Risk Mental State、通称「アームス」というのは、精神病になる一歩手前で症状をつかもう、という考え方で、現在、急速に広まっています。たとえば、不眠、不安などはよくある症状ですが、これを「うつ病」としてしまうか、あるいは統合失調症の前駆期ととらえられるか。かなり慎重かつ、敏感な判断が求められるところです。

症例は2つあげられていますが、両方共に寛解にいたっています。子供ですので、明らかな介入はよくありません。

面接においては「問診が症状に注を向けさせ、症状を完成させないこと」はとても重要です。たとえば「TVに自分が見られている」という子供に親が「なんで?そんなことがあるわけが」などというのは禁物です。子供は考えたあげく、「自分はマイケル・ジャクソンの生まれ変わりだ」と思い、症状が一段上がってしまいます。

「ゆるめの診断」をし、苦しさに共感しながら面接を進めて行く、ということをいつも頭に入れておくことです。非常に難しいですが。

統合失調症は非常に破壊力の強い病気ですので、小・中学校のころに症状を把握できれば、それはベストです。また、子供ですので発達障害のことも頭に入れる必要があります。

これができているのがオーストラリアです。すでに小・中学校で心の教育をしています。「何かが聞こえるようなことがあれば、まずは精神科にかかりましょう」という様にです。日本も早くこうなればいいですね