ただひとつの愛

ただひとつの愛 

カラマーゾフのアリョーシャの言うように
かつて私も 清く美しい感情に接し魂の浄化を覚えた時があったのだと
いままた新鮮に思い出すために祈ろう

わたしが神への感性を失っていないかどうかを問うための祈り
ただそのために祈ろう

祈りがなくて生きてゆくことはできない

雨が屋根をたたいている
ばらも雨に濡れているだろう
明日からのあなたも
わたしを育んでくれるだろう
この雨のように

雨音はやさしく寄り添う
美しいものが美しいままであること
それもよいことなのだと
私の心を慰める

人間とは美しいものだ
私は人間を愛している
人の心は小さいが
しかし美しいものなのだと
信じることができる

あなたゆえに
信じることができる

この年月を経て
わたしが真に学んだことは
愛はたったひとつで
愛する人はたったひとりだということだ

ただあなただけを愛するために
わたしは生まれたのだ

雨音の中に
わたしのたったひとつの愛が見えている
ただひと筋に見えている