抑うつ状態は心不全の予後不良に関連している
2007-03-07 13:52:47 -0400 (ロイターヘルス)発
ニューヨーク(ロイターヘルス) – 研究者らによれば、抑うつ症状は心不全患者の予後不良に関連しており、その結果、患者の死亡あるいは心血管疾患による入院のリスクが高まるという。
「心不全疾患重症度の臨床指標や生理学的指標を考慮に入れても、抑うつ症状は独立して臨床予後不良に関連していることがわかった」と、主研究者のDr. Andrew Sherwoodはロイターヘルスに語った。
抑うつ状態は、冠動脈疾患患者におけるリスク因子として広く認識されている。しかしながら、心不全患者についての研究はそれほど多くはない、とDuke University Medical Center(ノースカロライナ州ダーハム)のDr. Sherwoodらは指摘した。
さらなる研究のため、Dr. Sherwoodらは、心不全と診断され心室駆出分画が40%以下である204名の外来患者を組み入れた。研究結果はArchives of Internal Medicine誌2月26日号に報告されている。
中央値3年のフォローアップ中、Beck Depression Inventory(ベック抑うつ性尺度)のスコアが10以上の臨床的に有意な抑うつ症状が、死亡または心血管疾患による入院の総合エンドポイントのハザード比1.56と関連していることを研究者らは確認した。
患者のほぼ半数でBeck Depression Inventoryのスコアは10以上であった。意外にも、抗うつ薬を投与されていた患者は総合エンドポイントに達する傾向が有意に高かった(ハザード比1.75)。
「臨床的に有意な抑うつ症状は心不全患者に多くみられ、本来は治療に値するものである」と、Dr. Sherwoodは続けた。「さらに、我々の結果は、これらの抑うつ症状が予後不良の重要なリスク因子であり、単純に心不全の重症度を表しているだけではないことを示唆している」
この研究結果は心不全患者における抑うつ症状を評価する重要性を強調するものである、とDr. Sherwoodは結論付けた。抗うつ治療が適応になれば、「患者の生活の質が改善され、生命予後が延長される可能性がある」
Arch Intern Med 2007;167:367-373.